日刊産業新聞【ルポ/泉州電業・長久手ハウス/ヒーター線で農業の未来開拓/加熱・保温応用、他産業でも】

ヒーター線で農業の未来開拓(ルポ抜粋)

後継者不足に悩む日本の農業。ここにきトラクターなどの農業機械や、ビニルハウスの促成栽培に欠かない石油代高騰が問題になっている。
法人運営による省人化・省エネの農業ビジネスモデルが模索される中、電線流通大手の泉州電業はこのビジネスに向けた新商品の需要開拓に注力している。
同社の試験農園「長久手ハウス」を取材した。

使い方の一例は、苗の近くに「アピルヒーター」を曲げて挿入する。
すると土壌の温度が局所的に上がり、ビニルハウス全体の室温を上げるボイラー暖房の使用率を大幅に抑えることができる

地熱が上がると土壌中の微生物分解が早まる。
農作物の生育スピードが上がり収穫早めることもできる。
端的に言うと、「ボイラーの燃料代を下げ、農作物高く売る」(北﨑義春・アグリ事業部開発課長)商品なのだ。
温度管理で味を調整することもできるので、戦略的な農業経営のアイテムとしての可能性は高い。

加熱や保温で汎用的な用途が見込まれる「アビルヒーター」は土壌栽培だけでなく、他分野で応用が試みられている。
同じ農業用途では、苗のポッドを下から温めて発育を促す育苗パネル「アビル育苗パネル」をすでに製品化。
育苗にムラがなく、ポッドの配置を移す手間が省けるなどのメリットがある。

現在は野菜を中心に実験が行われているが、応用ができそうな農作物の品種の数を追えば限りなく広い。
農作物の生育促進だけでなく、夏も近づくこの季節に問題視される茶畑の霜害防止にも効果があるかもしれない。
水産業や醸造業の温度調整などの用途にも期待され、すでに実験は始められている。

2022年5月12日【日刊産業新聞】

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https://www.japanmetal.com/news-to20220512117685.html